前回のブログに武装SS仕様M42野戦服の製作記をさくっと上げていきました。
今回は製作状況の後半と完成に至るまでをサクサクと書いていこうと思います。
僕の考えるレプリカって、実物同様の仕上げに近づけるべくディティールにこだわるというものがあります。ただ80年以上前の野戦服を完璧に再現するにはどうしても限界があったりするのも事実です。
生地は僕が実際製作に使用しているものは実物よりも【高品質】なので再現するには実物のセルロース繊維の混じったウールなどという若干品質の劣る生地がほしいのも事実。
でも可能な限り再現したいのは、【型紙】製作にあります。
例えば写真のような背面のシルエットですが、ドイツ軍の背面裁断は、すべて腰あたりにあるダーツ。
これがシルエットを美しく整える要素です。子のシルエットが崩れているとすごく格好悪いドイツ軍になります。
ドイツ軍の服は単純に胸囲と身長を中心に支給されるので(→ここ大事ね)、個々人の兵士の体形によりぴったり合っているかどうかは当時の写真からも見て取れると思います。
でもね、格好良い兵士はびしっと体にあったサイズの服です。
(この意見はあなたもきっと同意してくれるはず…)
なので当時の縫製指南書に忠実に従って製作していれば問題なく格好良い野戦服となります。
武装SSって襟から何まで違うんですよ~
前からブログで書いてある通り
武装SSは国防軍(陸海空)とは全く異なる組織なので服の裁断も異なるということなのです。
実際に陸軍服との差異が一番わかりやすい服がM42野戦服なのかもしれません。
基本は陸軍服のデザインを踏襲していますが、独自のデザインを採用しています。
襟などは特に顕著で、陸軍服よりも小さめの折り返し、角度も緩やかで端部は丸みを帯びています。
もちろん野戦パンツも?
陸軍服と武装SSとでは野戦パンツも製造工場が別なのでそれなりに違う裁断になるのは当然の話だと思います。
とりわけゲートルを使用して着用されたカイルフォーム(くさび型のカイルホーゼと呼ばれるヤツ)のパンツが登場するまではM37型の裁断(ポケットの角度が浅い初期の野戦パンツ)のようで、写真を見る限り少し陸軍型よりも細い印象を受けます。
僕の知る範囲での野戦パンツはカイルホーゼが導入されるまでM37の裁断のパンツの着用例が圧倒的でしたので、当時の写真を見る限りでSS型のストレートパンツはM37の裁断で行っています。
当時のパンツの縫製は土管ズボンのような作りが基本ではありますが、ひざ下から細身のパンツの仕立も存在します。
パンツは用途によって裾幅は変化するので、野戦パンツに合うような運動量を考慮し
ながら仕立ててみました。
今回製作したパンツは、ご依頼主様が細身の身長のあるかたでもあったので細身の型紙を起こしSS型を再現してみました。
外観ディティールだけに注目が行きがちですが、内装も当時の製法を可能な限り再現。前合わせの裏地は
肩から胸、腕の動きでツッパリによる損傷を防ぐためのマチが入っています。これはSSに限らず陸軍服、将校服の仕立服でも入っているマチです。良くあるレプリカではこれが省略されていたり、型紙の設計ミスで変なところ入っている場合があります。
裏地なんですが、実はこれも古いドイツ製の裏地で100%レーヨン生地を用いて製作しています。
レーヨンの平織生地は伸縮性が若干ありますし、通気性のよい着心地の良い素材です。ただし、水にぬれると縮んだりして擦れや傷があると簡単に破れたりと性能が劣化します。実際実物服のレーヨン生地はかなりの確率でぬれており、場合によっては生地自体が分解崩壊しています。(植物性由来のセルロースの運命)
これもいつかは劣化してしまう運命にあるのだろうと思いつつ製作しております…
通常ドイツ軍の野戦パンツは股上が深い作りなのですが、中華製のレプリカはなぜかすべて浅い作りなんですよ~。レプでまた上が深い作りって、ヤンケぐらいしか思いつきません。他はなぜかぜーんぶ浅いです。
特段M37型の角度のポケットがあるパンツはまた上が浅いとすぐにわかる作りです。レプリカではあまり野戦パンツは注目されませんが、そこまで目を配ると何となく着用時にわかると思います。
当時のパンツは基本股上が胸の下までくるこれでもかというくらい深いパンツが一般的で、ドイツ軍でも例外なく深い作りです。
という感じでサクッと武装SSM42野戦服とM37野戦パンツの支離滅裂文章で製作記を記してみました。
また近いうちに新作をアップしていきますのでぜひまた立ち寄ってくださいね~