こんにちは。
今日もここへ遊びに来てくれてありがとう!!
いつものように野戦服や制服の野戦服の制作状況をお伝えしようと思います。
今日はツイッター界隈ドイツ軍関係でも少しネタ(?)になっているドイツ警察の野戦服の制作をご紹介しようと思います。
今回制作したのはドイツ警察ウール仕立てのM44野戦服です。
俗にいう全軍統一規格野戦服というやつで戦争も終わりに近いころに制定された野戦服です。
実際に当時のドイツ軍の発行する官報でも紹介されており、どのような裁断で製作するのかの
指南が官報にはあります。
僕の持っている実物のM44野戦服(これもまだレストアしていなくて気性が全くついていないやつです)
とパターン製作指南書をベースに型を起こして製作してみました~。
ボディーが一枚裁断という非常にドイツらしくない唯一の野戦服
冒頭にあげた写真ですが、この野戦服というのは、基本ボディーのパーツはラペル、襟、ポケットのパーツを除くとウールで裁断する場合、3つの基本裁断で構成されているのですが、M44だけに関しては1枚の生地で構成されており、腰の周りに来るザイテンシュトッフ(腰のベルト相当パーツ)でサクッと作られています。
※現在確認で取れているものでも背面のパーツが2枚構成とかもありますが、一般的なM44は1枚構成です。
でもってダーツとかというドイツ軍の野戦服の脇下やウエストを絞る工程も省略されていせ(生地をすぼめる方法)でウエストを調整するというなんとも手抜きな野戦服になっております。
ほかにも既存の野戦服を再生させて再支給されたM44もどきの野戦服も存在しますが今回は例外服はここでは語りません。
英軍のバトルドレスを参考にして作られた野戦服?
とか、海外でも、日本でも聞いたことがありますが、
それはないと思います。というのも気丈の短いデザインの服はすでに1930年代には存在し、
原型となったようなデザインの服は数多く存在します。
なので英軍のバトルドレスが参考になったというのは、見た目が似ているからという理由だと思いますが、
設計思想は資源節約のためということのみ共通している野戦服です。
とりわけヒトラーユーゲント服のバリエーションできわめて近いデザインの服があり、ソレを原型に
作られたのではないかと推測します。
先ほど述べた官報にもスポーツブルゾンに近い形で~という記述もあり、これはルーツはある程度前に存在していたと考えるのが妥当です。
そもそもドイツ軍の野戦服や制服は当時の民間衣装の延長線上で設計されているので異質なM44野戦服も
何ら民間の服のデザインをもとに設計されていても不思議ではありません。
ただここで製作した警察ウール仕様のM44野戦服は当時の野戦服をリサーチ、民間服のパターン、これまでの野戦服パターンをベースに新規に起こしております。
裏地は手元の戦後ドイツ警察の裏地を流用
M44野戦服は基本開襟を前提に着用されており、詰襟にする場合はボタン裏のループで襟を占めて防寒目的に使用されているようです。(1944年12月官報より)
で、上の写真ですが光減の具合で分かりにくいと思いますが、自慢になりますが一番警察生地に近い色合いをしているのは当方が政策に使用しているドイツ製のウール生地。
こちらは2021年度のラインナップした生地で当方が15m購入して持っています(笑。
裏地はというと、できればペルロン(ナイロン)生地で作りたいのですが、せっかく戦後警察用コートをばらしてとっておいたレーヨン生地を用いて製作してみました。(戦後の50-60年代は当時物の生地としてバッチリな生地がたくさんあります~)
せっかく製作条件がそろったということで遊びに着れる野戦服作っちゃえという乗りで製作しました。
と御覧の通りに仕上げてみました。
記章関係ですが、いきなり突っ込み入れられるのはまず襟章。
この襟章は警察に詳しい古くからの知人に指摘を受けました。
1941年前の襟章だとこの服の時代設定には合わない。
確かにそうなんですが、この時代だとBevo織の毒緑のトレスが入ったグレーのドッペルリッツエの直縫いが一般的なんです(汗。
でもですね、この野戦服製作当時で片側しか持っておらず、無理くり、工場から出た古いストックの徽章で縫い込んだという厳しいムリな設定でバチバチ縫いました。
でも縫い方は末期によくあるようなジグザグ縫いでドッペルリッツエで回りを縫い込んでいます。
次に突っ込みどころ、肩章です。
この肩章はじつぶつで既に使用されているものの状態が非常に良い肩章を手に入れたのですが、なんと僕が持っているロットではベロ付きの差し込み肩章がなく、縫い込み式しか持っていなかった。
だから”縫い込み式”に仕上げております。
この時期だと大体はベロ付き差し込み肩章が一般的です。
※時折、M41とかM43野戦服でもまれに縫い込み式を見ますが、一般的ではありません。
最後に警察の袖アドラー章。
ふつうはBevo式の野戦用アドラーなんですが、これがかなりの曲者でレプリカのアドラー章が機械刺繍のみしか市場には流通しておらず、シュミットさんから手に入れたものを縫い付けています。
徽章の台布と野戦服の色がマッチはしていませんが、機械仕上げの刺繍の表情が良いので個人的には気に入っています。
と記章に関しては少しグレーなところ(汗)がありますが、野戦服のディティールは完全再現は果たせたかと思います。
ボタンは袖、襟のフラップ止め用ボタンに15㎜の実物圧縮神ボタン、ポケット、前合わせは警察色のボタン(焼き付け再塗装品実物)を使用しております。
とまあこんな感じで警察最後の野戦服となったM44野戦服の制作記を書いてみました。
徽章類は様子を見て再度付け直そうかなと考えておりますが、しばらくはイレギュラーすぎる警察野戦服を遊んで眺めてみようと思います。
実は警察のM44野戦服製作はこれで2回目、以前は戦後警察のコートを2着つぶして作ってイタリアに嫁に出して以来なのでかれこれ2年ぶりでしょうか?
今度はこの記事を用いて警察(都市警察)の勤務服を作ると思います。袖や襟のウール生地もよきものの出会えてすでに持ってはいるのであとはいつか作るモチベが上がればご紹介しようと思います。
最後まで長い蘊蓄にお付き合いいただきありがとうございます。
でわでわ