こんにちは~。
遅れに遅れの超久しぶりの投稿となります。
年末年始の激務も3月に入りようやく落ち着きを取り戻したので
去年の暮れに仕立てたSD開襟服と乗馬ズボンについてご紹介したいと思います。
SSの開襟服は初めてなのです…
何度か僕のブログを読んでいただいているのであれば、もっぱら製作をしているのは、
兵/下士官野戦服や将校用の詰襟の制服ばかりで、開襟服や党組織服はいまだ製作したことがありませんでした。
ずっと心の中で作ってみたい制服が警察ウール生地を用いたSD勤務服。
それも兵/下士官クラスの制服でした。
ポリツァイウール生地はある。
SD警察肩章はシュミットさんで造ってもらった。
SS開襟服のパターンは持っている。
ということで3つの要素がそろっているから作ろうということになりました。
でも開襟服って下襟のラペルの制作には結構苦労しました。
上にある画像は僕が手元に持っている、当時のパターンメーキングの指南書です。
実はこの2種類、同じように見えても、パターン政策の概念が異なるタイプで、それぞれパターン製作者の
癖が反映されています。
この2種類のどれを選ぶのかは、僕のドイツ語の読解力と素人製作理論に拠りました。
僕の体系寸法を基に型紙を製作したのが上着のみ。でも、この指南書にはSSカットの乗馬パンツのパターンも乗っていたのでせっかくなら乗馬ズボンも作っちゃえというノリで乗馬ズボンも製作することにしました。
パターンは初の手描き♪
実は僕は型紙をたくさん描いてきたのですが、今回初めて手描きで挑戦してみました。
今まではCADソフトを用いて製作していたのですが、紙に出力するまでイメージが持てず、
出力しては調整しの繰り返しが多くありました。
ただ手描きのほうがイメージしやすいよという神の啓示があったことにより(笑)
手描きに初めて挑戦したのです。
大きなパターン紙に記入し、完成形が見えるようになると調整が非常に楽で、しかも線が増えるごとに楽しくなるではありませんか。
デジタルからアナログな作業ですが、イメージ、サイズ感をつかむには手描きが一番だということに気づいたのでした。
特にSD用開襟服の下襟や乗馬パンツのふくらみなどの形は何度も書き直しましたが、手描きだと即座に
修正ができます。
これからはしばらく手書きでパターン製作をしていくと思います(笑)
CADよりも実際の寸法を確認するならば鉛筆と定規に勝るものはない!
ささ、生地を無駄なく使うには
サイズ合わせには必ず仮縫いをすること。
ドイツ製のウール生地は1m当たりの金額がめちゃくちゃ高いばかりでなく、送料、税金を考えると
ウン万円します。(あとユーロ高ですし)、そういうお高い生地を使って製作するわけですから
失敗はできるだけ避けたいもの。
そういう場合は、仮縫いとして別の安い生地でサイズ感を知るために型紙ができたら一度シーチングと呼ばれる綿生地で作ってみます。
ここで僕が仮縫いして確認したのは、上下襟のサイズと背面のプリンセスラインと呼ばれる4枚の生地の構成です。
とりわけ4枚背面パーツは隣り合うカーブの作りに無理がないかを確認するため必ず調整を行っています。
※実際にプリンセスライン構成の服は過去3回製作しましたが、CAD作図では確認できなかったことで苦労しました。
また下襟(ラペル)は規定通りのサイズかどうか、折り目を付けるポイントを作図したパターンから調整を加えています。
仮に本番生地で造ったら修正ができないので仮縫いって大事だなって改めて知ることができました。
仮縫いで調整ができたら次には
今回使用する警察色のウール生地は、過去に警察M43型野戦服上下、M44警察野戦服を製作し、12mあった生地の残りを用いて製作することになりました。
やはり生地の余剰が生まれないように裁断した型紙を東京都心のビルのごとく所せましに並べます。
どれが無駄なくおけるかパズルのごとく思考錯誤し、上記の画像のように置くことになりました。
実際は生地幅75㎝(当時のドイツ生地の製造幅)であれば違う構成になるのですが、之はこれで苦肉の策で
おいております((笑)。
ポジションが決まったら裁断
生地の切り出しをする前に僕が行うのは、切躾(きりしつけ)と呼ばれる、糸を用いて生地の位置を縫う作業です。
これは生地の合わせ位置、マーキングをする作業で、裁断の時のずれを防ぐ目的で行います。
チョークだけだと作業の途中で消えることがあり修正が大変なので、面倒ですがこの作業をします。
ドイツ製の生地は厚手で密度も高いので、指が痛くなりますが、これはこれでちまちま行っています。
チョークでマーキングと切躾が終わったら慎重にラシャばさみでパーツを生地から切り出します。
胸増し芯ってご存じですか?
こういう立体裁断の服でも体の形をきれいに出すためにはほぼ間違いなく芯地が中に入ります。
将校服はもちろん、兵下士官クラスの警察服とか党組織服などいろいろな勤務服には芯地が入ります。
もちろんこの開襟服にも入ります。
一番胸元を強調するには、胸増し芯と呼ばれる芯地が入ります。
馬の毛で織られた毛芯が入り、それにフェルト、綿生地と3層構成の芯地です。
これらのパーツを組み合わせて作った胸増し芯です。これらのパーツを八刺しとよばれる漢字の8の字で手縫いでくみ上げていきます。
左右製作するのに本業の合間に行い3日ほどかけてチマチマ縫っています。
これをウール生地にフィットさせ、仮固定で糸を縫い付けて固定します。
胸増し芯のほかにも、肩パット(自作です)、袖の付け根を強調する袖芯上下襟には衿芯など多くの場所に
芯材を入れています。
安いレプリカはここを省略するので、服を着た時に不自然なしわが寄り格好悪くなります。しかも接着心と呼ばれる心材を使用しているので、着用による汗やクリーニング、芯の劣化で服からはがれてしまいます。カスタムメイドと呼ばれる服でも(某有名テーラー)接着心で製作したのにはちょっとショックでした。
この心材は時間がたっても服の形は崩れません。劣化もほとんどないので実物の服は形が崩れず滑降用状態を保っているのはこの心材のおかげです。
また肩パットは薄めのものを自作し、パットが入る部分はキャンバス生地で芯材を入れてあります。
実物の服ではこういう所まで手を入れて製作されています。
ここも手を抜かず製作しております。
総裏地の服は別途裏地のパターン製作
開襟服は総裏地仕様なので副本体とは別途でパターンを製作しています。
ゆとりを持たせて服をためないように少し服本体よりも大きく製作しています。
そしてダーツを胸から肩にかけていますが、ここはなぜか中華レプはオミットしている場合がありますがこれ結構重要な要素なんですよ~
多くのレプリカの間違いは背面
4枚構成の背面裁断は僕らプリンセスラインと呼んでいますが、Rock型と呼ばれる着丈の長い制服で多くのレプリカは背面構成がかなりいい加減です。
後ろからの見栄えが残念なのは背面のベルトフックの幅です。中心から左右に5㎝が基本で、サイズに関係なく左右5㎝の幅にならなければならないのです。また裁断のカーブも極端に湾曲してはいけないのです。
ちょっと自慢になりますが、これ結構得意になっています(笑)
袖の徽章はパーツの時点で縫ってます
SS服や左袖が重い組織(警察、消防、鉄道とか)は必ずパーツの時点で縫っています。
これはじつぶつでもパーツの時点で縫っている写真を見たことがあり、そして一番きれいに縫えるからです。
アドラーはシュミットさんの非常にきれいな仕上がりの初期型機械織のアドラーを使用しています。
SDの職務章はかつて存在したバイエルライン社製のBevo製のものにリネンの生地を挟み込んで迫力を増しております。(ここだけはあまり事例がないやり方ですが見栄えのため)
アドラーの位置は、実際に見せてもらったSS服開襟服の位置を測定すると袖山から16‐17㎝のあいだについているみたいです。
今回は16.5㎝の位置にジグザクミシンで縫い付け、SD章はアドバイスがあったので手縫いで仕上げています。
ボディを合わせると…
上のように仕上がりました。
かっこいいでそ?
袖がつく個所の白い部分はコットンテープを縫い付けています。
これは野戦服に限らずドイツ軍の服にはついているテープで袖のつけた位置が
きれいに見えるようにするためのテープで、袖がついた際の見栄えが格段に良くなる措置です。
で、ほかの制作途中の解説と画像飛ばして完成です…
すみません。ほかの制作途中の写真撮るのを忘れてしまいました。
で突然ですが完成した写真をご覧ください。
初めても開襟服製作でしたが、いろいろと学ぶことが多く次回製作することがあれば、その教訓を生かして挑みたいと思いますが、初めての割にはよくできたかなと思います。
次回の投稿はこの開襟服と同時に製作した乗馬ズボンについてご紹介したいと思います。
それではまたここでお会いしましょう!