こんにちは。
今回Mr.k様よりご依頼いただいている、M37ストレートパンツの製作状況を
お伝えしようと思います。
M37ストレートパンツは、1936年ごろにM36新式野戦服導入期に
導入されていたようです。
僕が知っている範囲では初期のストレートパンツと後期に製造されたストレートパンツでは、
生地を変更して製造されています。
今まで見たもので1941年製のM37カットのパンツも存在します。
このパンツの後継型であるM40野戦パンツの製造を並行生産していたようで比較的メジャーなパンツではないでしょうか?
M37とM40野戦パンツの大きな違いはフロントポケットの角度が異なる点、生地が野戦服とは異なる生地で製造されていたことがあげられますが、レアな例を上げるとM40でもシュタールグラウのパンツの製造例も存在します!
またM37パンツは陸軍型とSS型も存在し、微妙に裁断が異なります。
また生地は一般的にシュライングラウ(いわゆるストーングレー)と呼ばれるウール生地ですが、
実際にはシュタールグラウと呼ばれる色目が濃いグレー生地です。
※シュタールグラウとは、アイアングレー=鉄灰色のことです。
さて今回ご紹介するパンツの製作状況をサクッと解説していきます。
Mr.K様よりご依頼いただいているストレートパンツは、戦前のM37型の陸軍ストレートパンツということで
ご依頼がありました。
そこで明るめのグレー(シュタイングラウとシュタールグラウ)2種類の生地サンプルより選んでいただき、シュタールグラウをチョイス。
実際のパンツはかなり暗めのグレーでレプリカで再現されているパンツ生地はすべて明るめのシュタイングラウで製造されているようです。→レプはすべてかなり明るめなので退色した色合いなのです…
今回使用する生地はもちろんドイツよりひいきにしているメーカーから直送で届いたものを使用。
厚手はもちろん、密度の高いウール生地なので非常に織がきれいです。
上の画像は、パンツのフロント部分を合わせているものなのですが、左がスリットポケットと懐中時計ポケットを取り付けております。右側が何も取り付けていない状態です。
M37パンツのポケットはM40と簡単に見分ける方法としてはポケットの取り付け角度にあります。
画像にはありませんが先週末は後ろ側のパーツも仕上げてポケットを縫付けております。
そこでアクセントしても結構目立つボタンホールも当時と同様、アイレットボタンホール(鳩目ボタンホール)を専用ミシンで仕上げております。
前合わせはとても重要な部分で、前合わせを各パーツ取り付け前に確認する必要があるので、左側のフロントパーツを取り付ける前に確認します。
ここがずれるとパンツしての機能がおバカになってしまうので慎重にミリ単位で位置を確認しています。
ところどころ白い糸くずが点々とついているのが見えると思いますが、これは「切りしつけ」と呼ばれる
紳士服のテーラーさんが良くやる方法で、生地の切り出しや、パーツの取り付け位置を糸を生地に縫ってつける方法です。
特に厚手のウールだと、印付けにチャコを用いますが、製作途中で消えたり、強くつけすぎると落ちなかったりといったこともあるので、この切りしつけは面倒ですが、大いに役立ちます。
平織のウールは毛が長い分、すぐに見えなくなることがあるので製作の際は必ず切りしつけをして、ずれを防ぐようにしています。
とこんな感じでパンツを製造していますが、たぶんうまく行けば一週間ほどで完成できそうです。
また改めて製作状況をアップしていきますのでどうか次回もお楽しみに!
Eberbach-Schneiderei